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三味線と西洋音楽をミックスしたやつが嫌いでたまりません。正直言って、合わないな、合わないな、って思ってたのです。いつか、どこかで言ってやろうと思ってたのですが、ここで言うことにします。
三味線って極端にディフォルメすると「ビヨン」って音じゃないですか。そして、1音の中での音程の変化が極端すぎて、音像がハッキリしない、不安定に聴こえます。だから、音程がほぼ均一化している楽器や、コード感のハッキリした音楽と合わせると非常に違和感を感じる。
また、三味線とのミクスチャー音楽は、三味線がでしゃばるもんだからメロディを弾きたがる。これが良くない。ヨナヌキ音階以外のメロディを三味線で弾いてはいけないのです(断言しちゃった……(汗)。なんというか、この、非常にカッコ悪い。頼むからやめてくれと言いたい。
ところで、コレにも例外がひとつあって、「無舞(ブブ)」というユニットの、三味線とトランスをミックスしたのは結構カッコよかったです。下手に西洋かぶれたメロディーを弾かず、リズムに重点をおいたところが、今までの三味線ミクスチャー音楽と一線を画すところであると思います。ていうか、三味線の音を生かすには、邦楽以外の現代音楽では、トランスやミニマルミュージックでいうところのシーケンスパターン的な用途が合いやすい、と彼らの音楽を聴いて確信したのでした。もしくは、後述する「邦楽のモード」を考えた上での使用です。
無舞の公式ページはこちら。
bounce.comでの紹介記事はこちら。
吉○兄弟なんて聴いてる場合じゃないっすよ。
何かをミックスするのだったら、三味線よりも音にクセのない琴のほうがハマると思います。それほどまでに三味線って和の個性が強い楽器だと思うんです。
ちなみに、琴とのミクスチャーでオススメなものというと、白木秀雄の"祭りの幻想"がカッコいい。
上記の白木秀雄クインテットのアルバムも悪くないのですが、
こちらのコンピレーションの同曲はかけねナシにカッコいい。恐らくSABAレーベルのレコードからの出典だと思うのですが、正確なところは良く分かりません。
また、前者の白木秀雄クインテットのアルバムの解説に興味深いことが書かれています。
「祭りの幻想」は1958年に、日本ジャズ界の誇るべき作曲者、八城一夫が白木クインテットのために書いた「邦楽のモード」による傑作です。そしてあたらしいモードによるジャズという着想の点で、アメリカのマイルス デイビスやジョン・コルトレーンのそれにおとらぬ古い作品です。
ここで大事なのが「邦楽のモード」です。三味線とのミクスチャー音楽で自分の感じていた違和感はこれで説明できるのでは?と思います。三味線を何かの代替楽器としてしか見立てておらず、邦楽を念頭に考えたスケール(音階)で構成していない為にカッコよくなるはずのものがカッコ悪くなった、と考えれば十分合点がいきます。
※モードとは音列・旋法とも訳され、調性の壁を逸脱した音階の構成を意味します(正確じゃないかも)。
余談ではありますが、このアルバムには最近他界された世良譲氏がピアノで参加しています。