サタケ家

Prince

3-13. Crystal Ball / Prince from "Crystal Ball"

プリンスというと、多作家で有名なアーティストの一人です。あまりの多作ぶりのため、お蔵入りとなった作品も数知れず。"Crystal Ball"はそんな未発表作品（アウトテイク）のごく一部をまとめた4枚組CDです。内容は3枚の未発表曲集、プラスもう1枚が"Truth"と呼ばれる、アコースティックアルバムで、（わかりやすく言えば）Beckが作る音楽のような雰囲気を持ったアルバムです。

今回取り上げる曲は、Disk1の1トラック目、タイトル曲でもあるクリスタルボールです。

クリスタルボールは10分以上もある大作です。ジャズ・ピアニスト／アレンジャーでもあるクレア･フィッシャーのストリングスアレンジがとても素晴らしく、プログレッシブなこの曲をさらにレベルアップさせています。彼の全盛期であるとも言われる80年代に作られた曲の中でも、特に光り輝いている曲のひとつでもあります。

この頃は、早回し気味でボーカルを録音する、という手法をプリンスはしばしば採用していました。その若干ピッチの上がった声の主を、彼は彼自身のペルソナとして「カミール」と呼んでいました。この「カミール」で録音された楽曲郡はクオリティも高く、人気のあるものが多いのです。

その他、カミールで録音された曲では、Disk2のGood Loveが好評のようです。

「プリンス入門」としてはこの未発表曲集は少しキツイかもしれません。あくまでファンサービスようなCDセットです。予め、プリンスという人を一通り理解した上で聴くと感動もひとしお。

また、当初10万セット限定と言っていたのは大ウソで、それ以上プレスされているようですし、店頭でも購入できます。もっと詳しいいきさつを知りたい方は検索して調べてみましょう。

※あいまいな記憶を元に書いているのでウソが含まれる恐れアリ※

もともと、クリスタルボールは、プリンスファンの間で幻となっていたプロジェクトでした（もしくはドリームファクトリーかもしれない（＾＾；　名前とトラックリストだけ流出していたプロジェクトも多かった）。アウトテイクを不正に収録した海賊盤CDで、音質の悪いそれを聴き、なんとか欲求を満たしていたファンも少なくなかったはず。それが満を持して発売される、と発表されたのです。

結局、これはお蔵入りした同名プロジェクトの復活ではなく、未発表曲の一部を収録した作品となりました。それでも今まで封印されていた曲が公式に聴けるのですから、ファンたちは興奮しました。しかも10万セット限定、ネット通販のみ、というのですから、ディープなファンはインターネットに接続せざるを得ませんでした。